最近、「マルシィの曲を聴いてたら、一瞬Saucy Dogかと思った…」という声をよく聞きます。
若者を中心に絶大な人気を誇る2組ですが、なぜ「似てる」と言われるのでしょうか?
この記事では、マルシィとサウシードッグの歌声や楽曲構成、歌詞といった要素を徹底的に比較分析。
共通点と相違点を明確にしあなたの疑問を解消します。
なぜ「似てる」と感じるのか?共通する音楽ジャンルと時代背景
マルシィとSaucy Dog(サウシードッグ)が「似てる」と感じられる最大の理由は、両バンドが現代のJ-ROCKシーンにおける共通の音楽ジャンルとトレンドに強く影響を受けているからです。
両バンドが位置する「エモい系」「泣きロック」の潮流
両バンドは、特に若年層に人気の高い「エモい系」「泣きロック」と呼ばれる潮流に属しています。
- 共通テーマ: 「別れ」「後悔」「未練」「叶わない恋」など、多くの人が経験する等身大の恋愛感情を赤裸々に歌い上げること。
- 楽曲構造: 感情の起伏に合わせて静寂と爆発を繰り返す、ドラマチックな楽曲構成を特徴としています。リスナーの心を掴んで離さない「泣きメロ」の使い方が非常に共通しています。
この「エモい」世界観とサウンドメイクが、2010年代後半から2020年代にかけてJ-POP/J-ROCK界で大きなトレンドとなったことが、両バンドの空気感を近づけている最大の要因です。
似たような世界観を好む層へのアプローチ
両バンドは、TikTokやYouTubeなどのSNSを主要な発信源とし、若年層、特に10代後半から20代のリスナーに対して集中的にアプローチしています。
- この層が求める「切なさ」「共感性」「疾走感」といった要素を、両バンドとも高いレベルで満たしているため、リスナーは自然と両者を同一のカテゴリー内で捉えがちです。
- ストリーミングサービスでも、似た傾向の楽曲を再生するユーザーには両バンドの曲がレコメンドされやすく、リスナー側も「同じ種類の音楽」として認識する傾向が強まります。
本質的な音楽性ではなく「空気感」の類似が原因?
結論として、リスナーが抱く「似てる」という印象は、個々のメンバーのテクニックや音作りといった本質的な音楽性の違いよりも、
- 「エモい失恋ソング」というテーマの共通性
- 「ドラマチックな泣きメロ」という楽曲構成の共通性
という、楽曲全体から醸し出される「空気感」の類似が大きく影響していると言えます。
この共通の土壌があるからこそ、ボーカルの歌声や細かなアレンジの共通点がより強調されて感じられてしまうのです。
徹底比較!具体的にどこが「似てる」のか?(声・歌唱法編)
サウシードッグとマルシィの似てると感じる最大の要因の1つが、両バンドのボーカルの声質と歌唱法です。
ここでは、Saucy DogのVo. 石原慎也さんと、マルシィのVo. 吉田右京さんの歌声を徹底比較します。
【声の比較】Vo. 石原慎也(Saucy Dog) vs Vo. 吉田右京(マルシィ)
両者の声質には、確かに共通してリスナーの心を掴む要素が詰まっています。
- 声の高さとレンジ: どちらも中〜高音域を多用し、高音を張り上げることなくクリアに響かせる力を持っています。これが、楽曲の「切なさ」や「痛み」をダイレクトに伝える基盤となっています。
- 感情の強調: サビなどのクライマックスで、一気に感情を乗せて**声を震わせる(しゃくり上げる)**ような表現を多用します。この感情的なアクセントのつけ方が、似ていると感じる決定的な瞬間を生み出します。
- 特定の母音の響き: 特に「あ」や「い」といった開いた母音を高音で歌う際の、透き通るような響き方が類似しており、これが両者の「泣きメロ」の説得力を高めています。
共通点がある一方で、両者の個性は歌声の「質感」と「発声の強さ」に明確に表れています。
石原慎也さんの声は人生の苦悩や葛藤をそのまま歌にしたような生々しい熱量が込められており、楽曲全体にロックバンドらしい重さと激しさを与えます。
一方、吉田右京さんの声は、甘く、優しく、どこか切ない響きを持ち、聴く人を選ばないポップな聴きやすさと繊細さを楽曲にもたらします。
【歌唱法と表現力】感情の込め方の違い
歌唱法においても、共通の「泣きメロ」を表現しながらも、異なるアプローチが見られます。
- サウシー(石原慎也)のアプローチ: 感情の爆発を伴う**「叫び」**に近い激情的な表現が特徴です。特にサビ後半で、声の力を最大限に使い切るような歌い方は、聴く人の心に強い衝撃を与え、楽曲をドキュメンタリーのように感じさせます。
- マルシィ(吉田右京)のアプローチ: 内省的で、感情を抑えきれずに**「泣き」**が滲み出るような繊細な表現が特徴です。ファルセット(裏声)を多用し、ソフトな歌い方で切なさをじっくりと聴かせることで、楽曲にロマンチックでドラマチックなムードを作り出します。
徹底比較!具体的にどこが「似てる」のか?(楽曲・演奏編)
ボーカルの声質に加えて、楽曲の構成、サウンドアレンジ、そして歌詞の共通性が、「マルシィ」と「サウシードッグ」が似ていると感じられる大きな要因となっています。
【曲構成(展開)の共通点】ドラマチックな「泣きメロ」のテンプレート
両バンドの楽曲の多くは、リスナーの感情を揺さぶるための共通した「黄金パターン」を持っています。
- 静からの動の展開: 楽曲は、切ない空気感を漂わせた静かなAメロ(ピアノやギターのアルペジオが主体)からスタートします。これにより、リスナーはすぐに曲の世界観に引き込まれます。
- 熱量の高まり: Bメロでは、ドラムのフィルインやベースの動きが加わり、徐々に熱量が上昇します。歌詞の感情も高まり始め、サビへの期待感を煽ります。
- サビでの爆発: サビで一気に演奏がパワフルになり、ボーカルの高音域と共に感情が爆発するような展開を迎えます。このドラマチックな高低差こそが、両バンドの「エモさ」の核であり、最も似ていると感じる構成上の共通点です。
- 「落ちサビ」の多用: サビの前に一度演奏が静かになり、ボーカルの歌声だけを際立たせる「落ちサビ」と呼ばれる手法を多用することも共通しています。これにより、楽曲の切なさが最大限に引き出されます。
【サウンド・アレンジの類似点】ギター主導の「エモ」サウンド
基本的な楽器構成はギター、ベース、ドラムのオーソドックスなロックバンド編成ですが、サウンドメイクにも類似点が見られます。
ギターサウンド
- アルペジオとディレイ: イントロやAメロで、クリーン(歪みの少ない)トーンに**ディレイ(残響)やリバーブ(残響)を深くかけたギターのアルペジオ(分散和音)**を多用します。この手法は、楽曲に叙情的で奥行きのある雰囲気を与えます。
- ギターリフの存在感: サビ後の間奏やアウトロで、ボーカルメロディに匹敵する印象的なギターリフを挿入し、聴き手の耳に残るフックを作る点も共通しています。
ドラムとベース
- タイトなリズム: 派手なテクニックよりも、楽曲の感情の流れを支える安定したタイトなリズムが主体です。サビではキックやスネアを強調し、感情の爆発を後押しします。
- ベースライン: ギターサウンドが切ない分、ベースラインはルート音(和音の基本となる音)を支えつつ、時にメロディアスに動き出すことで、楽曲の深みを増しています。
【歌詞のテーマと表現】切なすぎる恋愛ソングの共通点
両バンドの歌詞は、ジャンルの共通性が最も強く出る部分です。
| 項目 | Saucy Dog(サウシードッグ) | マルシィ |
|---|---|---|
| 主要テーマ | 圧倒的に「失恋」や「未練」 | 圧倒的に「片想い」や「切ない恋」 |
| 描写の視点 | ドキュメンタリー的、生活感のある描写 | ロマンチック、詩的で美しい情景描写 |
| 具体例 | 日常の会話や行動、場所の描写が多い。 | 比喩表現や抽象的な感情表現が多い。 |
| 感情の質 | 「後悔」や「諦め」の泥臭い感情 | 「純粋さ」や「切望」のピュアな感情 |
どちらも、リスナーが自身の恋愛経験を重ねやすいよう、強い共感性を持たせることに成功しています。
異なるのは、その感情をどのように描くかという「表現の深度」です。
サウシーは現実の痛みに近く、マルシィは理想的な美しさを伴った痛みに近いと言えるでしょう。
徹底比較!サウシードッグとマルシィ似てると話題の楽曲はこれだ
リスナーの間で特に「似ている」と話題になる、泣きメロが印象的な楽曲を比較します。
マルシィ「アリカ」 vs Saucy Dog「いつか」
叙情的なギターのアルペジオで始まり、サビでメロディと演奏が一気に高揚するバラードの王道構造。
特にサビのメロディラインが、どちらも日本人が「切ない」と感じやすい音階(マイナーコード)を効果的に使っています。
マルシィ「雷雨」 vs Saucy Dog「優しさに溢れた世界で」
ミドルテンポのエモロックで、別れの痛みを乗り越えようとする、少し力強いメッセージ性が込められています。
ギターリフの使い方が、曲の疾走感を高める点で共通しています。
【バンド個性の違い】「似てる」から「全然違う」へ
共通する音楽的要素が多いマルシィとSaucy Dogですが、その「似ている」という印象は、両バンドの個性を深く知ることで「似て非なるもの」へと変化します。
ここでは、それぞれのバンドが持つ独自の魅力と、表現したい世界観の違いを明確にします。
Saucy Dog(サウシードッグ)の際立った個性
aucy Dogは、メンバー3人の演奏技術と、ボーカル石原慎也さんの感情を剥き出しにした歌唱が核となる、正統派のライブバンドです。
彼らの楽曲は、失恋や後悔といった人間の泥臭い感情をストレートに描き出します。
音源以上にライブでの熱量と激しさが圧倒的で、ファンは「共感」だけでなく「衝動」や「爆発」を求める傾向にあります。
音作りはあくまでロックバンド然としており、リスナーの内側に潜む生の感情を揺さぶる力が最大の魅力です。
マルシィの際立った個性
マルシィは、吉田右京さんのクリアでマイルドな歌声と、徹底的に計算された洗練されたサウンドメイクが特徴です。
TikTokやストリーミングでの人気に火が付いたことからもわかるように、そのサウンドはポップス寄りの聴きやすさに重点が置かれています。
テーマは「恋愛」に特化しており、表現される感情は純粋でロマンチック。
都会的な情景描写が多く、まるで上質なラブストーリーの主題歌のような聴き心地です。
繊細で美しい世界観を丁寧に作り上げ、幅広い層に心地よい切なさを提供します。
まとめ
マルシィとサウシードッグが似ていると言われるのは、「エモい系恋愛ソング」という共通のジャンルに属し、ドラマチックな泣きメロの楽曲構成や、クリアな高音域を持つボーカルの声質の一部が共通しているためです。
しかし、両バンドの個性を深く掘り下げると、Saucy DogはVo.石原慎也さんの泥臭く、爆発的な感情が魅力のライブバンドであり、マルシィはVo. 吉田右京さんの洗練され、繊細でピュアな感性が光る都会派ポップスとして、明確に異なっています。
「似てる」と感じたら、その違いをぜひ聴き比べてみてください。
それぞれの深い魅力を発見できるはずです。今後、両バンドがどのように音楽性を確立していくか、目が離せません。




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