ミセスグリーンアップルが全部同じに聞こえる?ワンパターンと言われる理由は?

ミセスグリーンアップルが全部同じに聞こえる?ワンパターンと言われる理由は?

Mrs. GREEN APPLEの楽曲を耳にしない日はありませんが、SNS等では「どれも同じに聞こえる」「ワンパターン」という声を目にすることもあります。

なぜそう感じる人が多いのでしょうか。

実はそこには、彼らの圧倒的な個性と緻密な音楽戦略が隠されています。

本記事では、ミセスを愛するファン目線でその理由を徹底分析。

「同じ」の先にある、彼らの真の多様性と底知れない魅力について詳しく解説します。

目次

なぜ「ミセスグリーンアップルは全部同じ」と感じるのか?3つの理由

Mrs. GREEN APPLE(以下、ミセス)の曲が、一部で「全部同じに聞こえる」「ワンパターン」と言われてしまうのには、実は彼らのアーティストとしての「強すぎる個性」が関係しています。

なぜそのように感じてしまうのか、主な3つの理由を深掘りしてみましょう。

大森元貴の「圧倒的なハイトーン」という強烈な記号

まず最大の理由は、ボーカル大森元貴さんの類まれなる歌声です。

彼の地声と裏声を自在に操る超高音域のハイトーンボイスは、ミセスの最大の武器であり、同時に「どの曲を聴いてもミセスだ」と一瞬で判別させてしまう強烈なブランドロゴのような役割を果たしています。

音楽に詳しくない人が聴いたとき、メロディやリズムの細かな違いよりも「あの高い声の人の曲」という印象が脳に強く刻まれます。

その結果、楽曲ごとのジャンルの違いを超えて、声のインパクトがすべての印象を塗り替えてしまうのです。

これは、唯一無二の歌声を持つアーティストだけが抱える「嬉しい悩み」とも言えるでしょう。

緻密に計算された「ミセス流ポップス」の華やかなアレンジ

活動再開後のミセスは、「ダンスホール」「Magic」「ケセラセラ」など、多幸感に溢れた華やかな楽曲で次々とヒットを飛ばしました。

これらの楽曲に共通しているのが、以下の要素です。

  • キラキラとしたシンセサイザーの音色
  • 豪華なオーケストレーション(ストリングスやブラス)
  • 疾走感のあるハイテンポなリズム

これらの要素が組み合わさった「ミセス流ポップス」の完成度があまりに高いため、ライトなリスナーにとっては「煌びやかで速いテンポの曲」という一つのカテゴリーとして括られてしまいがちです。

ヒット曲が連続したことで、そのスタイルが「ミセスのスタンダード」として定着したことが、「ワンパターン」という印象に繋がっています。

メディア露出やタイアップ曲の「ポジティブな偏り」

私たちがテレビCMや街中で耳にするミセスの楽曲は、その多くが「聴く人を元気づける」「場を明るくする」といったコンセプトのタイアップ曲です。

企業や番組側も、ミセスに対して「明るく、爽やかで、前向きなエネルギー」を求めているため、自ずと選ばれる曲調が似通ってきます。

その結果、お茶の間に届く「ミセス像」が、彼らが持つ音楽性のほんの一部(ポジティブな側面)だけに限定されてしまっていることも、全部同じに聞こえてしまう大きな要因です。

「ワンパターン」は「完成されたブランド」の証である

多くの人が「ミセスっぽい」と感じ、時に「どれも同じ」と評するのは、彼らが「Mrs. GREEN APPLEという唯一無二のジャンル」を創り上げた証拠に他なりません。

「イントロ1秒」で誰かわかる凄み

世界的なハイブランドを想像してみてください。

ロゴを見なくても、その色使いやシルエットだけで「あ、これはエルメスだ」「これはアップルだ」と分かりますよね。

音楽の世界でも同じことが言えます。

イントロが流れた瞬間の音の質感、大森元貴さんの第一声。

それだけで「あ、ミセスだ」と認識されるのは、並大抵の努力で成し遂げられることではありません。

無数のアーティストがひしめく音楽シーンにおいて、「一瞬で自分たちだと分からせる記号」を持っていることは、最大級の強みなのです。

「期待を裏切らない」という信頼関係

ヒット曲が続く背景には、リスナーの中に「ミセスならこういう高揚感をくれるはずだ」という期待があります。

彼らはその期待に対し、常に100点満点の「ミセス節」を返し続けています。

これは、いわば「秘伝のタレ」を守り続けている老舗店のようなものです。

訪れる客(リスナー)は、その味を求めてやってきます。

味が毎回バラバラでは、ファンは定着しません。

「またこの最高の味が聴ける」という安心感こそが、今のミセスの爆発的な人気を支える土台となっているのです。

メッセージを届けるための「あえての型」

大森元貴さんの紡ぐ歌詞には、時に鋭く、時に深く、人間の本質を突くようなメッセージが込められています。

これほど重層的で哲学的な内容を多くの人に届けるためには、「キャッチーで受け入れられやすいパッケージ(=ミセスらしい曲調)」が必要不可欠なのです。

「全部同じ」に聞こえるほどの盤石なスタイルがあるからこそ、その内側にある歌詞の深みや、細かなアレンジの遊び心に気づいた時の衝撃が大きくなります。

彼らは、大衆を惹きつけるための「型」を意図的に使いこなし、その奥にある真実を伝えようとしているのではないでしょうか。

【ファンが断言】実は全く「ワンパターン」ではない!楽曲の振り幅

「ミセス=キラキラした明るいポップス」というイメージだけで彼らを判断するのは、あまりにも勿体ないことです。

一度アルバムの深層へ足を踏み入れれば、そこには「全部同じ」という言葉を忘れてしまうほどの、広大でカオスな音楽世界が広がっています。

ここでは、彼らが持つ「3つの顔」をご紹介します。

魂を削るような「壮大なバラード」

「ダンスホール」の多幸感とは真逆のベクトルにあるのが、聴く者の心に深く突き刺さるバラード群です。

  • 『Soranji』: 映画『ラーゲリより愛を込めて』の主題歌。死生観をテーマにしたこの曲は、もはやポップスの枠を超え、鎮魂歌のような神聖さすら漂わせます。
  • 『僕のこと』: 「負けた人への賛歌」として多くの人の涙を誘った名曲。合唱曲としても親しまれるこの曲は、静かなピアノから始まり、最後にはオーケストラと共に魂が叫ぶような圧巻の展開を見せます。

これらの楽曲を聴いて「ワンパターン」だと感じる人は、おそらく一人もいないはずです。

人間の闇と毒を暴く「ダーク&アヴァンギャルド」

ミセスの真骨頂は、実は「影」の部分にあります。

初期から続くこの系統の楽曲は、今のキラキラしたイメージを良い意味で裏切ってくれます。

  • 『Loneliness』: 鋭いエレクトロサウンドと、吐き捨てるようなボーカル。孤独と攻撃性が入り混じった、非常に中毒性の高い一曲です。
  • 『パブリック』: 現代社会への皮肉と葛藤を歌った初期の名曲。骨太なバンドサウンドに乗せて、人間の醜さや矛盾を鋭く突いています。
  • 『VIP』: 遊び心の中に強烈な毒を忍ばせた一曲。現在の華やかなミセスからは想像もつかないような、エッジの効いたロックサウンドを堪能できます。

遊び心全開の「ジャンルレスな実験作」

彼らは「ミセスらしさ」という型を自ら壊すような実験も繰り返しています。

  • 『ア・プリオリ』: 複雑なリズムと不協和音ギリギリのメロディが交差する、芸術性の高い楽曲。
  • 『Theater』: まるでブロードウェイのミュージカルを見ているかのような、華やかでドラマチックな構成。
  • 『ライラック』: アニメ『忘却バッテリー』の主題歌。超絶技巧のギターカッティングと疾走感は、往年のギターロックファンをも唸らせる仕上がりです。

音楽のプロも驚く「楽曲構造」の複雑さ

「キャッチーなメロディ」の裏側で、実は音楽のプロが頭を抱えるほど難解なことをやっているのがミセスの真の姿です。

耳馴染みが良すぎるために「またこの感じか」と思われがちですが、その中身を解剖すると、全く「ワンパターン」ではない緻密な設計図が見えてきます。

迷路のように入り組んだ「予測不能な転調」

ミセスの楽曲、特に近年のヒット曲に共通しているのが凄まじい頻度で行われる「転調(キーが変わること)」です。

通常、J-POPではサビで盛り上げるために一度転調するのが王道ですが、大森元貴さんの楽曲は、Aメロ、Bメロ、サビ、さらには間奏の中でさえ、流れるようにキーが変わります。

例えば、最新曲の一つである『ライラック』や、大ヒットした『Magic』を注意深く聴いてみてください。

一見爽やかに流れているように聞こえて、実は裏側でコード(和音)が目まぐるしく変化しています。

この「違和感なく、スムーズに、でも複雑にキーを変える」という技術は、極めて高い作曲能力を必要とします。

「聴き心地が良いのに、実は誰も真似できない」という、魔法のような構造になっているのです。

音の密度が異常な「多層レイヤーアレンジ」

ミセスの曲を「全部同じ」と感じる理由に「キラキラした音」を挙げましたが、その「キラキラ」の中身を分解すると、驚くべき数の音が積み重なっています。

  • 疾走するバンドサウンド
  • 華やかなオーケストラ(ストリングス・ブラス)
  • 現代的なシンセサイザーのレイヤー
  • 幾重にも重なる大森元貴自身のコーラスワーク

これだけの音数(トラック数)を詰め込むと、普通は音がぶつかり合って聴きづらくなってしまいます。

しかし、ミセスの楽曲はそれらが見事に調和し、一つの大きな「ミセス・サウンド」として出力されています。

「音の洪水」でありながら「一貫した色」を保っている。

このバランス感覚こそが、プロが唸るポイントであり、素人には「いつものミセス(同じ音)」と感じさせてしまうほどの完成度の高さなのです。

リズムとメロディの「超絶技巧」

大森さんの作るメロディは、日本語のアクセントを無視せず、かつ楽器のようなトリッキーな動きをします。

特にフェーズ2以降、ボーカルのメロディラインはより細分化され、まるでラップのように言葉が詰め込まれたかと思えば、一瞬でオペラのようなロングトーンへと飛躍します。

このリズムの複雑さと音域の広さを、まるで呼吸するように自然に歌いこなしてしまうため、聴き手はその凄まじさに気づかず「心地よいポップス」として消費できてしまうのです。

ミセスを「全部同じ」で終わらせないための聴き方ガイド

「どれも似たようなキラキラ系でしょ?」と思っているあなたの概念を覆すための、具体的な3つのステップをご紹介します。

ステップ①:真逆の2曲を「セット」で聴き比べる

まずは、世間のイメージ通りの「光」の曲と、その裏側にある「影」の曲を交互に聴いてみてください。

その落差に驚くはずです。

  • 【光】『ダンスホール』 or 『Magic』
  • 【影】『Soranji』 or 『Loneliness』

この「陽」と「陰」の激しいコントラストこそが、彼らがワンパターンではない最大の証拠です。

ステップ②:「アルバム曲」に隠れた名曲を掘り起こす

テレビやSNSで流れてくるのは、基本的に「タイアップ付きのシングル曲」です。

しかし、ミセスの真の実験精神はアルバムの中にこそ眠っています。

おすすめアルバム:『Attitude』

フェーズ1の集大成とも言える一枚。

ロック、ポップス、そして非常に内省的で哲学的な楽曲が混在しており、「同じアーティストが作ったのか?」と疑うほどの多様性があります。

おすすめアルバム:『ANTENNA』

フェーズ2の勢いを凝縮した一枚。

今のミセスの「華やかさ」が、単なるワンパターンではなく、いかに計算し尽くされた「コンセプト」であるかが分かります。

ステップ③:公式YouTubeで「ライブ映像」を体感する

音源だけを聴くと、完璧に整えられた「ハイクオリティなポップス」として消費してしまいがちですが、ライブ映像は別物です。

大森元貴さんの圧倒的な歌唱力はもちろん、楽曲ごとに全く異なる表情を見せるパフォーマンス、演劇のような演出。

「視覚」が加わることで、それぞれの楽曲に込められた全く別のストーリーが見えてきます。

特に、オーケストラ編成やアコースティック編成のアレンジを聴けば、彼らの音楽的素養の深さに圧倒されるはずです。

まとめ

「全部同じに聞こえる」という感想は、ある意味で正しいのかもしれません。

それは、彼らが「どこを切り取ってもMrs. GREEN APPLEである」という強力なアイデンティティを確立した証だからです。

しかし、その「ミセスらしさ」という器の中には、ロック、ジャズ、クラシック、EDM、そして深い哲学と遊び心が、とてつもない密度で詰め込まれています。

  • ワンパターンに見えるのは、完成されたブランド力があるから。
  • 全部同じに聞こえるのは、誰にも真似できない個性の裏返し。

一度その先入観を脱ぎ捨てて、アルバムの深層やライブの熱量に触れてみてください。

そこには、あなたが想像していた「キラキラしたポップス」だけではない、美しくも残酷で、けれど温かい音楽の宇宙が広がっています。

次にミセスの曲が街で流れてきたときあなたの耳にはこれまでとは違う「新しい音」が届くようになっているはずです。

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