学生から社会人になる試練としてほとんどの人が直面する地獄・就職活動。
良い思い出がある方は少ないのではないでしょうか。
そんな地獄の就活をミステリー小説として描いた浅倉秋成先生の小説「六人の嘘つきな大学生」。
読み始めたら止まらなくなって一気見してしまいました。
(おかげで次の日は超寝不足状態で出勤することに(笑))
そのぐらいストーリー構成やキャラの設定がリアルで、伏線回収の凄さに惚れ惚れするレベルの神作です。
- 自分がいかにつまらない人間だったのか
- 主観的な考えだけを正解だと思ってしまう愚かさ
- 就職活動で一喜一憂してしまうほど勿体ないことはない
をヒシヒシと痛感させられます。
「六人の嘘つきな大学生」のあらすじをサクッと解説
成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。
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本書で就活生が目指すスピラリンクスは超一流のIT企業。
現実世界でいえば、TwitterやInstagramなど有名SNSサービスを展開する会社を狙うイメージですね。
学生の中でも選りすぐりのエリートだけが選ばれた最終選考。
かと思いきや、ふたを開けると目を背けたくなるような展開が繰り広げられることになるのです。
六人の嘘つきな大学生を読んだ感想
「六人の嘘つきな大学生」読んだ感想を一言でいうなら、ジェットコースターに乗っている感覚です。
あ~やっぱ犯人コイツだよね。そう思ってたんよ。
という言葉を心の中で8回は唱えたように思います。
え、まさかコイツが犯人?
と思ったら、展開はさらに斜め上に進んで
もしかして犯人は6人以外じゃないのか?
と思ってしまったり。
真相はネタバレになるので避けますが、そのぐらい先が読めません。
それと心臓の弱い人は閲覧注意ですね。
人間の裏の裏というか見たくない部分がリアルに描かれるので、心臓がめちゃバクバクします。
と読んでいる時の心境はここまでにして、読んだ後の感想を要点毎に綴ります。
自分がいかにつまらない人間だったのか
最後まで読み切った後の率直な感想です。
自分がいかにつまらない人間だったのか痛感しました。
今までの私は人の本性をちゃんと見抜けていたのかな。
もしかして一面だけを評価して本当はすごく良い人なのに避けたりしてないかな。
と自分の愚かな一面にも気づけたように思います。
そもそも裏側がない人間なんていないのだし、裏側も自分が持っているフレーム次第では簡単に悪いイメージへと変えることができる。
1番恐ろしいのはその人の裏の一面なんかじゃなくて、「一面だけを見て評価を下してしまう人間」じゃないかと感じました。
主観的な考えだけを正解だと思ってしまう愚かさ
目を背きたくなるようなグループディスカッションを作り上げた犯人は、主観的な考えだけを正解だと思いこんでいました。
作中では「就活生特有の混乱」が非道行為を助長するきっかけになったとも書かれています。
自分が見た一面だけを根拠に
- 社会がおかしいんだ
- 就職活動の仕組みが終わってるんだ
と判断するのはいかに愚かなことなのか痛感しました。
若さゆえの行動とも思える行為ですが、自分が目にし、感じたことが必ずしも正解とは限らないということです。
犯人の詰めの甘さも結局は主観的な考えだけを頼りに行動した結果じゃないかなと感じました。
就職活動で一喜一憂してしまうほど勿体ないことはない
本作を読み始めた当初、
これから就活を迎える学生は絶対読むべきじゃない
と感じていました。
そのぐらい刺激的というか、就活の怖さがありありと再現されています。
しかし、読み進めるとこの考え自体も一面だけを評価した物に過ぎないなと感じるようになりました。
本作のメッセージ性として個人的に印象に残ったのが
人の良否について完璧に見極められる人はいない
ということ。
採用のプロである人事ですら、完璧な人を見抜くことはできないんです。
だから、就活の結果について一喜一憂するのもなんか違うかなと。
たまたま良い面を見つけてもらえなかっただけかもしれないし、悪い面が採用者の持つフレームで大きく見えてしまっただけかもしれない。
つまりは就活の結果なんて運以外の何でもないんです。
そういう意味では就活生の安心させる本でもあるかなと感じました。
犯人の気持ちも分からなくはないしむしろ共感
私個人的に、犯人が倫理的に反する行為に至った気持ちも分からなくはないかなと感じました。
というより、恥ずかしながらかなり共感したというのが正直な感想です。
仮に私もあの場面にいたとしたら、間違いなく犯人と同じ行為をやろうと目論んでしまうんじゃないかなと。
私も、学生の頃は悪い意味でちょっと意識高い系というか。
就活の在り方について疑問を唱えたり、周りのレベルの低さ(自分で思ってるだけ)に幻滅したり、とかなり生意気な考えを持った学生だったので、共感ポイントは高かったです。
まあ私の場合、バカなのであんな方法思い付きたくても思いつかないですけどね。
「六人の嘘つきな大学生」に対する口コミ
次の展開がいい意味で期待を裏切ってくれる点に関して好感を持つ読者が多いようです。
また、就職活動の在り方についてここまで本音で真実を語ってくれる作者さんはいないんじゃないでしょうか。
その辺の意識高い学生が読んでいる就活攻略本よりも、本質的な就活の裏を教えてくれる本書の方が自分を「超越」させてくれると思いますよ。
まとめ
本記事では『六人の噓つきな大学生』という小説を読んだ感想を綴ってみました。
鮮やか過ぎる伏線回収の数々に一度読み始めると止まらなくなる程のめり込んでしまう本作。
- 本作で作者が伝えたいメッセージ
- 犯人が非人道的な行為に及んだ理由
- 事件を起こした真犯人は誰だったのか
等々。
見どころ満載ですので、まだ見てない方はぜひ視聴してみてくださいね。
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